引き寄せの法則を弊害を避ける方法

引き寄せの法則、想念術などは「傲慢になりやすい」という問題点があります。「なんでも自分が引き寄せたのだ」と考えるために、周囲への感謝がなくなり、慢心に陥るリスクがあるのです。もちろん、正しく法則を理解している人なら、傲慢になることはありません。それはどんな人かといえば、神に感謝し、神を第一として祈りの中に生きている人です。

目次

信じて自力を尽くせば成功成就する

成功哲学の元祖ともいうべき『自助論』はサミュエル・スマイルズにより記されました。これを日本に最初に紹介したのは、中村敬宇という幕末の人です。中村敬宇は幕命により英国に留学し、日本と同じ島国の英国が近代化し発展している姿に驚嘆します。そして、帰国の船中で、英国人から、イギリスでベストセラーになっている本としてサミュエル・スマイルズの『自助論』を紹介されます。中村敬宇は船中でむさぼるように読み、帰国後、『西国立志編』という名前で翻訳出版します。志を立てて自助の精神で努力を重ねれば、成功するというお話を実際の成功談を多数とりあげて解説した本です。成功哲学、引き寄せの法則の元祖のような本です。この本は明治時代、100万部以上売れています。当時、アジアで「自助論」が翻訳出版されたのは日本だけです。そして日本だけがアジアで近代化を成し遂げました。他のアジアの国はすべて日本を手本にして近代化したのです。「天は自ら助くる者を助く」は同書の言葉です。

天は自ら助くるものを助く

この本では天と訳していますが、もともとはキリスト教国の本なので、神様が助けるという意味です。また、現代の日本にマーフィ博士の著書を初めて紹介したのは、渡部昇一氏です。大島淳一のペンネームで「眠りながら巨富を得る」「眠りながら成功する」「マーフィー100の成功法則」などを出されました。これらの古典的な思想では、神という存在を意識しています。それは、法則や波動やエネルギーというよりも、人格神(人格を備えた神様)という意味合いが強いものです。人が人格を備えた神様と向き合う時、そこに感謝の念と謙虚さが自然に生じます。人格神を掌握し、目に見えない世界の存在のご活動を想像力豊かに思いを巡らせる人は、神仏や天使などに深い感謝と畏敬の念があります。だからこそ謙虚であり、傲慢になることはありません。しかし普遍的な信仰心というものを持たない潜在意識論者、想念術者、引き寄せ論者には、人格神という認識がありません。認識がなければ、目に見えない世界の人格を持ったご存在のご活動の様子をありありと想像することはできません。

天の働きの実態は神仏(人格神)の働き

波動とかエネルギーとか法則とか意識といった見方でしかとらえていないからです。人格神を想像できないから、謙虚さを見失うのです。例えば、あなたの着ている一枚のシャツがどうやってあなたの元に来たかを考えるとわかります。それは、あなたが念じたから、パッと空間から出てきたわけではないはずです。そのシャツが出来上がるまでにたくさんの人間の作業や活動や苦労があるのです。布地が木綿なら、綿花を育てる人の苦労があります。絹なら養蚕業の人々の苦労があります。そして中国やタイやベトナムのシャツ工場で低賃金で働かされている女性など、労働者の苦労があります。その製品は流通業者の手間暇のおかげで販売店まで届き、お店や通販を経てあなたのもとに届きます。一枚のシャツに感謝するという時、多くの人格を持った人の労苦に感謝ができるのです。目に見えない世界も同じです。

神々と周囲の人々が動いてくれて初めて物事は成就している

神々様が動かれ、守護霊団が動かれ、無数の高次の存在がいわば汗をかいて、苦労をして支えてくれて、それであなたの願いが叶うのです。引き寄せといっても、本当のところは、自分が念じてパッと目の前に出るのじゃないのです。目に見えない存在の加護と応援が必ず働いています。本当の学問と教養のある人ならそれがわかるので、人様のおかげ、神様のおかげと謙虚に感謝し、手柄を自分のものとしません。だから傲慢になることはないのです。「謙虚でいよう、謙虚でいよう」と、頭で考えて無理やり謙虚になるのとは全く違います。そのような謙虚は形だけのものものです。見かけ上、謙虚そうにふるまっているだけでお腹の中では、ふんぞり返っているのです。そして、いつのまにか、神仏の加護からも見放され、にっちもさっちもいかなくなるのです。神仏の嫌う、我と慢心、そして怠りの精神状態になるからです。

目に見えぬ人格をもった存在を掌握すれば慢心は避けられる

しかし、人格神という認識がある人は、おのずから、感謝の念、謙虚な気持ちが途切れることがなく、むしろ、いっそう感謝し、いっそう慢心を避けるのです。自らを信じて進むのが「自力」という車輪で普遍的信仰心が「他力」という車輪です。自力と他力の両輪がある人が、正しい開運の実践者です。最近の引き寄せ論者は片輪しか持たぬ人が多いです。自力だけの人が謙虚とか感謝とかいってもそれは、本質が見えず、他力の実態がわからぬままの形だけのものなので、深い真実のものになりません。だから、「行者」になっていくのです。行者さんは道を誤ることで天狗になります。天狗つまり傲慢です。