ワイス博士の前世療法

前世療法とは前世の自分を体験する催眠療法ですが、未来の自分を体験することもできます。さらに来世の自分の体験もできます。催眠療法について認知されるようになり、それにつれて、前世療法にも関心が集まっています。

その中には、アンチというか、批判的な意見も散見します。たとえば、前世療法は宗教ではないかという批判です。そもそも、前世療法とは催眠療法の中の「退行催眠」の応用です。伝統的な退行催眠は幼児期への退行で、トラウマを解決していきます。これに対して、さらに過去へのさかのぼり、過去世まで思い出すというのが前世療法です。催眠療法そのものは「医療催眠」として医療の分野で活用されています。これは1958年にアメリカ医師会が医療催眠を正当な医療行為と認めて以来、継続しています。しかし、前世療法となると、前世という言葉そのものが宗教的な意味合いを含むため怪しげなものと受け取られたり、宗教の一種かと受け取られたりすることが多々あります。

催眠を診療に活用している医師でも表立って「前世療法」をしていると表明していない医師も多いです。それは批判を恐れてのことかもしれません。しかし、このセラピーの心理療法としての効果は、実践している医師の多くが認めています。むしろ、重視しており、通常の催眠療法よりも効果があると考えています。もちろん前世療法は宗教ではありません。それは信じていなくても、効果があることからも明らかです。精神科医ブライアン・ワイス博士は、最初は前世を信じないままに、このセラピーに取り組んでいました。ワイス博士の患者はアメリカ人であり、多くはキリスト教徒でした。キリスト教では前世の存在は認められておりません。そのアメリカ人が、ワイス博士の催眠誘導によって、信じてもいない前世を次々に思い出し、医師も患者も驚嘆するということが続き、ワイス博士はついに前世の実在を確信するにいたったそうです。しかし、ワイス博士は、その認識を決して強要はしていません。なぜなら、信じていなくてもセラピーの効果があるからです。これを知って、なお、前世療法は宗教と批判する人がいたら、その人はいささか頑迷に過ぎるといわざるをえません。