他者を責め憎む念の及ぼす影響

45歳のキャリアウーマンのA子さんは、自分の母親を憎んでいます。幼少時にあまりに厳しい育てられ方をしたためです。A子さんは、親に感謝の気持ちなど欠片もないと言います。そして、現在、老いて病気を抱える母親に対して、部屋が片付いていない、孫に体に良くないものを食べさせる、などなどさまざまな過失・欠点を見出しては、母親を責め、母親と口論をし、罵倒したりを日々、繰り返しています。

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過去に出したものが戻ってきているだけ

この状態を生まれ変わりの法則、因果応報の法則から分析してみると、どのような問題点があるのか。これが、今回のテーマです。まず、A子さんは、因果応報の法則がわかっていません。そもそも、自分が厳しすぎる育て方をする親の子供としてなぜ生まれてしまったかについて考えが至っていないのです。その親の子に生まれてきた理由は明白です。それはA子さんが、前世で自分の子に対して、あまりにも厳しい仕打ちをしていたからです。前世で自分がしたことが今生で自分に戻ってきただけなのです。これがわからないと、「自分は悪くない。相手が悪い」という一方的断罪の世界に陥るので「許す」ということができません。前世では自分が同じ罪を犯していたことを悟れば、そんな前世の自分を恥ずかしく思わねばならないところです。

目の前の人を許すことは過去の自分を許すこと

また、そんな自分の過去を許すのと同じく、今生で同じ仕打ちをされたとしても相手を許すことが必要と気が付くのです。ですから、いつまでもこの親を憎み、許さないということはありえないのです。次に、今のままでいると、A子さんは新たな因果応報を生み出していることに気が付く必要があります。今の自分がしていることは、未来においてブーメランのように自分に戻ってくるのです。ということは、もしかしたら、今生においてA子さんが高齢になった時、わが子から厳しい仕打ちを受ける可能性があるということです。今のA子さんが親にしているような暴言や罵倒や責めを今度はわが子からA子さんが受ける可能性があるのです。これは想像するだけでも恐ろしいことです。

今生を逃げ延びても来世では逃げられない

そして、もし、今生でブーメランがすべて戻らなかった場合は来世では残りが確実に戻ります。来世の自分が高齢になった時、誰かから虐められる運命が巡り来ることになるでしょう。人は自分が出したものを受け取るのです。自分がどれだけ正しいと主張したところで、自分が出したものは自分に戻るのです。この因果応報の法則を悟らないのでA子さんは親を許すことができない状態にいるのです。因果応報の法則と生まれ変わりの仕組みを悟れば、誰でも過去を許し、人を許し、愛に目覚めるようになります。今回の事例も一種のいじめ問題と言えるでしょう。いじめられた人が今度はいじめる側に立つ。そして、いじめた結果がまた自分に戻ってきていじめられる。

許しは憎悪の連鎖を断ち切り未来を変える

この不毛な繰り返しを止めるには、因果応報の法則を悟り、生まれ変わりの仕組みを悟り、愛と許しに目覚めるほかありません。他者を責め、憎む念は、必ず自分を滅ぼすのです。どこかの時点でこれを断ち切る必要があります。それには、神様や仏様の心とは「許しの心」なのだと知る必要があります。あなたが許せない相手を許したら、あなたもまた神仏によって許され、愛され、幸せになれることを悟って下さい。